入浴を嫌がるときは、シャワーチェアの購入を先に決めるより、何がつらいのかを確認することが先です。寒さ、痛み、滑る怖さ、裸になる恥ずかしさなど、本人にとっての理由が考えられます。椅子を買えば拒否が解消し、安全に入れるとは限りません。
本人の気持ちと体調を確認する
国立長寿医療研究センターの資料では、ケアへの拒否の背景に身体の不調や、何をされるか分からない恐怖などが挙げられています。「わがまま」と決めつけず、短い言葉で説明し、嫌がる場面と本人の言葉を記録しましょう。
- 急に嫌がるようになった、痛みや体調の変化がある:医師・看護師などへ相談する。
- 寒い・怖い・恥ずかしい:時間帯、室温、プライバシー、介助する人を見直す。
- 何をされるか不安:行うことを一つずつ説明し、本人の反応を確認する。
強い抵抗があるまま無理に進めず、担当のケアマネジャーや介護職と対応を考えてください。具体的な入浴方法や頻度は、体調と介助体制に合わせて相談します。
家族が相談するときの記録
| 記録すること | 例 |
|---|---|
| 嫌がる場面 | 脱衣、移動、椅子への着座、洗髪、浴槽をまたぐとき |
| 本人の言葉・様子 | 寒い、痛い、怖い、疲れる。いつから変わったか |
| 受け入れられた条件 | 時間帯、介助者、説明の仕方、できた範囲 |
| 家族の負担 | 一人では支えられない、移動に不安がある |
在宅での介助が難しい場合は、通所先での入浴や訪問入浴を含め、利用できる支援を相談しましょう。
シャワーチェアが役立つ場面と限界
立って洗う負担がある人にとって、座って洗える入浴用いすが候補になることはあります。ただし、座る・立つ・移乗する動作、姿勢の保持、濡れた床での設置には別の確認が必要です。背もたれや肘掛けがあれば誰でも使えるわけではなく、椅子は手すりや介助の代わりにもなりません。
耐荷重の大きさだけを安全性の評価に使ったり、椅子があるから長時間入浴できると判断したりしないでください。
購入前に専門相談員と確認する項目
- 身体への適合:足が着く座面の高さ、座幅、姿勢の保持、立ち上がりと移乗の方法。
- 浴室への適合:床の傾斜や段差、排水、脚の接地、扉の開閉と介助者の動くスペース。
- 製品の条件:正確な型番、取扱説明書、使用者体重の上限、組み立てと調整の方法、禁止事項。
- 維持管理:脚ゴムなどの消耗部品、清掃、点検、交換部品と相談窓口。
浴室の寸法と本人の困りごとを伝え、福祉用具専門相談員などと候補を絞ってください。可能なら実物で身体との適合を確認します。寸法と製品の条件が分からないまま、通販の安さだけで決めるのは避けましょう。
買わなくてよい・購入を待つ条件
困りごとの中心が寒さや羞恥心で、座って洗うための用具が必要と確認されていないなら、まず環境と介助方法を見直します。座位が不安定、移乗に介助が必要、浴室に置けるか不明な場合も、先に購入せず専門職への相談を優先してください。
介護保険を使う場合の自己負担と購入先
対象となる入浴用いすは、特定福祉用具販売の入浴補助用具に含まれます。対象費用の自己負担は原則1割、所得に応じて2割または3割です。「原則1割が支給される」という意味ではありません。対象となる購入費用の限度は同一年度で10万円です。
給付を使う場合は指定を受けた販売事業者からの購入が必要です。要介護・要支援認定、商品の対象性、年度内の利用済み額、申請と支払い方法を、購入前にケアマネジャー・指定販売店・自治体へ確認してください。通販で買った後に給付対象になるとは限りません。
参照資料
2026年10月5日確認:国立長寿医療研究センター:認知症ケア資料(ケア拒否)、厚生労働省:福祉用具・住宅改修、厚生労働省:特定福祉用具販売。

